私代筆屋のもとには小説では描けないほど生々しい依頼が舞い込んできます。
事実は小説より奇なりとはよく言ったものです。
昔、息子の担任を好きになってしまったお母さんからの相談がありました。
(※プライバシー保護の観点から詳しくは書けないことをご理解ください。)
依頼者であるお母さんは結婚して旦那さんもいますから、
この恋が成就すれば不倫が成立してしまいます。
私は代筆屋として、不倫を手助けする手紙を書いていいものか、悩みました。
だけど、依頼者の女性の真摯な想いから、
相手を好きな気持ちが本物だということは伝わってきて、依頼を引き受けることにしました。
考案に向かうたびに、息子さんや旦那さんのことを想うと複雑な気持ちになりました。
家族を壊すかもしれない心を動かす手紙を書くことになる。
しかし依頼を受けた以上私はプロの代筆屋だと自分を言い聞かせ・・・